タバケムいろはコラム2
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「ゆ」・・幽霊・・。
この世に幽霊というものは存在するのだろうか。いや、存在しないものが見えるから 幽霊というのか、そこのところはよくわからない。よく霊感が強い人はたまに見るというけど、 幸いにも全く霊感などとは縁もゆかりもないわたくしは生まれてこのかた見たことが無い。
いや、あまり見たいとも思わないが・・。

その代わりといってはナンだけど、自宅の部屋にひとりでいるとたまにテレビ台とか本棚から 「ピシッ!」という音が聞こえることがある。この現象をポルターガイストだと複数の友人に 話したところ、「木って温度で伸び縮みするから、それじゃないの〜?」と一蹴されてしまった。
確かにそう考えるのが正論だとは思うけど、腑に落ちないことがひとつある。それは、友人などが ウチに遊びに来たとき、つまり部屋に複数の人間がいるときは決してこの現象が起きないことだ。
例えばその友人がトイレに立って部屋から出て行ったとき、つまり部屋にはわたくしのみいる 状態のとき、何の前触れもなく「ピシッ!」と音がする。これは不思議ではないだろうか。
まあ偶然が偶然を重ねているだけだ といわれれば、それだけの話である。しかもこの現象は 現在でもたまにあるのですっかり慣れてしまったわたくしイバである。

ここでよく勘違いするのが、霊というのは10中8・9は怖いもの、人々に危害を加えるもの というイメージがある。これは昔から伝わる話や、本・テレビ・映画などで作り上げられた フィクションからそのイメージが出来上がってしまったんだと思う。確かにそのほうが話題に なりやすいし、話のネタにもなる。

例えば「昨日の夜、枕元に死んだじいちゃんがいてさぁ、静かに見守ってくれてるようだったよ」
となると、どこかほのぼのとするが、インパクトに欠ける。 それよりも
「県境のトンネルを走ってたらさぁ、後部座席に人の気配があって振り向いたけど誰もいないんだよ。 トンネル出てから車を停めて座席を確認したら水みたいなので濡れててさぁ・・」
というほうが、俄然インパクトはある。危害を加えられたわけではないけど、確実に恐怖というものに 当てはまる。

このように、理由もないのに幽霊らしきものと遭遇すると恐怖120%という状態になってしまうのが 悲しい性である。これが前者のように見守ってくれているような幽霊だと(あ、先祖が守って くれてるのだな)と、安堵感さえ覚えることとなる。

同じ幽霊(だと思う)なのに、この差はなんだろう・・。

一方、単なる勘違いというのもけっこうある。
これは知人の体験である。
ある冬の夜、時は真夜中である。布団の中で不意に目覚めると、なにやら窓の外から音が聞こえる。 「ザザッ、ザザザッ」なにか物体がゆっくり移動しているような音だ。ここは山奥のロッジなので 周りに人なんていない。いたとしても寒さ厳しいこの山奥で、しかも気温はマイナス10何度という 外にわざわざ出かける理由もない。しかし確実に窓の外からは「ズズッ、ズズッ」と怪しげな 音が聞こえてくる。思わず布団をかぶって恐怖に怯えながらそのまま寝てしまったようだ。

翌朝、恐る恐るカーテンを開けて窓の外をのぞいたら、そこには昨晩出しておいたゴミ袋が 移動していた。どうやら犬かなにかが引きずっていたらしい。。

イバにも似たような実体験があることを今思い出した。

これも時期は冬だった。高校生のイバはいつものように夜更かしをしてそろそろ寝ようと 布団に入った。昼間の疲れもあってすぐに寝入ってしまったのだけど、多分真夜中(時計は 確認しなかった)なぜか突然窓際に人の気配を感じて目が覚めた。それまで全く霊感なんてものが なかったイバだったが、確実に窓際に誰かがいるように感じた。恐る恐るその方向を見ると、 なんと窓いっぱいに人影らしきシルエットが見えた。暗闇のなかだったけど、確実に大人の シルエットだった。ちなみに部屋は2階なので人が通りかかるはずもない。泥棒かとも 思ったけど、それなら余計に身を縮ませて気配を消すはずだ。しかもピクリともその シルエットは動かないのだ。どちらかというと、じぃぃっとこちらの様子を伺っているように思えた。 あまりに怖くて「ひぃっ!」と短く叫んだかどうかは忘れてしまったけど、 このとき襲ったリアルな恐怖は何事にも変えられない初めての体験であった。
しばらく布団をかぶっていたが、やはりどうにも気になって、もう一度ゆっくりを首を傾けて 窓際を見た。距離にしたら布団の位置から2メートルくらいしか離れていない窓だ。 やはりさきほどと同じような人影が暗闇のなかでぼぅっと浮かび上がっている。
「ひぇぇ!」と心の中で叫んだイバは再び布団をかぶり、窓に背を向けて、どうにもならない 恐怖を抱きつつ(寝てしまえ!寝てしまえばこっちのもんだ)と、果たしてどっちのものなのかも 現実逃避の一環としてその夜は眠ってしまった。

翌日の朝、布団をかぶったまま目覚めたイバは昨晩のことを思い出し、まあ朝になったんだから と、 よくわからない理由を正当化しておもむろに窓辺を見た。

・・・そこには当時流行っていた自分のロングコートがハンガー替わりに掛けてあった。。

ま、誰もが一度は経験したことがある話だ と、信じたい。。
人というのは、得体のしれないものにはからっきし弱いモノなのである。

それが例え「勘違い」でも。