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「へ」・・「へべれけ」つまりベロンベロンに酔っ払ったどうにもならない酩酊状態 を表す。酒は飲んでも飲まれるな とはよくいったもので、 今でこそ上手にコントロールしながら楽しくお酒を頂いているが、若者に至ってはそんな ことが出来るはずもなく(少なくともわたくしは出来なかった)しかも人並みの3倍くらい 飲んでもけっこう傍目には平気そうに見えるわたくし、自分としても「まだまだ!これからだぜぃ!」 などという自爆タイプである。 しかしながらどういうわけか二日酔いというのは人生で2度くらいしか経験したことがなく、 我ながら酒に強い体質で、コップ一杯のビールで「あたし酔っちゃった〜」などという人を 原付ミニバイクの燃費に例えるならば、わたくしは古き良き時代のアメ車並にガソリンを 撒き散らす勢いの燃費の悪さ といったところである。 そんな人生において酒の席で失敗した話はけっこうあるらしいが、当の本人がよく覚えていないので (酔っ払って)いやはや酒とは魔物である。その中でも比較的記憶に残っている「へべれけ」な 話をひとつネタにしてみようと思う。あぁ、思い出すだけで恥ずかしい・・。 毎年恒例で年末になると高校時代の友人ら数人で忘年会をする という頃があった。このときも 気心知れた仲間が集まり、まずは居酒屋で乾杯をした。各自それぞれ好きな肴を つまみつつバカ騒ぎ手前くらいのテンションで和やかな飲み会だった。気の置けない仲間と酒を 飲むのは本当に楽しいものだ。 数時間後、全員がほろ酔い加減で店を出ると、ちょっとだけ勢いがついたのか、まだ時間が早いのも あって「よし、じゃ次行こうぜ!」とハシゴが始まった。 次の店はスナックのようなバーのような店だった。年に1、2度くらいお世話になる店で、 基本的には食べ物は扱ってないのでいつも2件目に訪れる店であった。 この頃はメンバーの半分くらいがすでに結婚していて、家庭内の憂さ晴らしも手伝い、勢い余って どんどんテンションが上がっていった。つまりは酒のピッチが上がっていった。 そんなとき誰かがふとカウンターに目を向けて「あれ、T本じゃないか?」などと囁いた。 まあ実際には囁くのではなく、ちょっとテンション押さえ気味で普通にしゃべっていたのだと 思うのだが、そんなことはどうでもいい。 T本というのは高校時代の同級生であるけど、大学時代に仲間内でいろいろトラブルがあって (主に金銭関係)、誰からともなく次第に疎遠になっていった人物である。なので、シラフであれば そのまま無視していたはずなのだが、こちとら全員酔っ払いなので「こっちに呼んで適当に あしらってここの代金おごらせようぜ」作戦を緊急企画し、実行に移した。 「お〜い、T本!こっちきて飲もうぜぇ!」と全員で陽気に彼を呼び、昔からおだてに弱いのを 利用して、結局この店の代金を支払ったのはT本であった。まずは作戦成功・トラトラトラ である。 この頃、すでにいわたくしイバは過度に酔っていた。が、まだフラフラしながらも自分の意思で 歩けたし、言葉もしっかり発言出来る範疇であった。 T本に代金を払わせてさらに「T本〜、オマエの行き着けの店に連れてってくれよぉ〜」などと、 「このまま帰すのは惜しいからタカれるだけタカってやろう」作戦を遂行すべく、行動に出た わたくしらだった。いや、正確にはイバ以外の全員の作戦だった。 なぜなら、わたくしだけは「酒が飲めればそれでいい」という心境かつ重度な酔っ払いだったからだ。 結局、その足で美川憲一の唄で有名になった岐阜の繁華街「柳ヶ瀬」に行くことになった。 途中でわたくしトイレに行きたいと、車を停めさせて、そのへんの田んぼの中で用を足したのだが、 まっすぐに立っていられないほどの状態だということに気づいたのは、そのまま前のめりに 倒れてしまった瞬間であった。 時、すでに遅し である。 辛うじてマーキングの跡をよけて倒れたものの、服には泥がついてしまった。しかし酔っ払いは そんなことを咎めることはないのである。 3件目の店もスナックみたいなところだった。この店でさらに酒を飲み、わたくし、あろうことか 「ここは俺が払う!」と、1万円札を財布から取り出したのはいいが、やはり全員の目論見で T本が支払うことになった。またもや作戦成功であったらしい。 しかし、ここまで酔っ払ってくるとなぜか意地になるのがイバの癖らしく「一度財布から出した金は 元には戻さないっ!それが俺の生き方なのだぁ〜!」と、よく分からない理由を叫んだのは 覚えている。しかし、その万札を胸のポケットに入れたのだが、 その瞬間からお金をどこに入れたか覚えていないわたくしであった。正確にいうと、そんなことは どうでもよくなるらしい。まるで他人事のように書いているが、他でもない自分自身の話である。 ・・全く・・酔っ払いって奴は・・。 そのままもう1件ハシゴをすることになって柳ヶ瀬の街中を歩くのだが、すでに一人では 歩けないくらいしたたかに酔っていたわたくしは、比較的酔いが浅い友人二人に 両脇を抱えられて店を移動した・・のは覚えているが、どこに行ったのかは全く覚えていない。 たどり着いた店はバーみたいなところだったのは辛うじて覚えているけど、ナニを飲んで ナニを話していたのかは記憶にない。ただ、このときなぜか突然気づいたことがあった。 「あ、俺上着着てない!」 そう、MA−1タイプのジャンパーをどこかの店に忘れてきたのを今更ながら思い出したのだ。 時は冬なのだから通常なら寒くて気づくはずなのだが、酒というのは身体の温度を温める作用もあり、 ついでにすでにへべれけ状態のわたくしであるので、すでに世の中の常識というものすら通用しない レベルに達していたのである。う〜む、酒とは恐ろしい飲み物だ。。 ちなみにこのときはすでに言葉もヘロヘロ状態だったのできっと 「んぁあ゛〜をでぅわぎぃ〜でな゛ぃ!」というようなゾンビ言語を発していたはずである。 あわてて(あわてたのかは実は不明)さきほどの店に戻って聞いたのだが店主は「え?ここには ないよ〜」なんて答えが返ってきたのは覚えている。しかし、どうやってその店に行ったのかは 覚えていない。きっとT本と一緒に行ったとしか考えられないから、そういうことだと思う。 そこからは本当に記憶がないのだが、まあなんとか柳ヶ瀬から帰ってきて、 友人に別れを告げて、車を運転して(!)、ちゃんと車庫に入れて、家のカギを開けて、2階に 上がって自室の布団に入ったみたいだ。 ”みたいだ” というのは、翌日目が覚めたら布団のなかにわたくしちゃんと寝ていたからである。 もういちど言うが、布団に入った記憶はないのである。車をバックで車庫に入れた記憶も、 階段を上がったのも、寝巻きに着替えたのもキレイサッパリ記憶にございません なのである。 人間の帰化本能というのは実に素晴らしい と、我ながら感動したものだ。 しかもあれだけ飲んだにも関わらず、すっきり爽快な目覚めであった。 結局、行方不明になった上着は2件目(T本と会った店)のお店に忘れていて、すぐに 回収に向かって事なきを得た次第である。 ちなみに胸ポケットに入れいたはずの1万円札は、当然どこかで落としたのだろう。胸ポケットには 何も入っていなかった。何も入っていないポケットの周りは泥が付着していた。 その泥からは小便の匂いはしなかった。 ・・・ホッ・・良かった・・・。 柳ヶ瀬で1万円を拾ったアナタ、そいつはあの夜無くしたイバのお金です。 今更返してくれとは言いません。それがわたくしの生き方(らしい)なので。 でも、代わりといっちゃナンですが、そのお金で夜の街に繰り出そうじゃないですか。 なぁに、今回は大丈夫です、迷惑はかけませんって・・。 |